日産化学の強みと弱み

▮ ニッチ分野における強み


ニッチな名分野で安定して利益を稼ぎ出している点が、日産化学の最大の強みです。比較的広い分野を扱っており、ある分野が赤字になっても他の分野で利益を出すことができる事業体制になっています。とはいえ、闇雲にいろいろな分野に手を広げすぎているわけでもありません。事業は異なっていても、コア技術開発の過程や、工場単位で結びつきあっており、部門間のシナジーによって多くの価値を創造しています。機能性材料(電子・無機・有機)だけではなく、ライフサイエンス(農薬・医薬)分野にも力を入れ始めており、更なる企業の成長が期待できます。

また、各個人として保有している技術やスキルのレベルは高く、若手社員のお手本となる先輩社員が多いです。各研究ユニット間での競争意識も高く、切磋琢磨によって会社全体が更なる高みに向かっている実感が持てます。業界内での製品の評判も高いです。また、除草剤(ラウンドアップマックスロード)や植物ホルモン剤(トマトトーン)など日常生活に近い素材から、生活者にとっては馴染みのないスノーテックスなどの化学製品にまで広く関わっており、社会全体を影から支えているという実感を感じることができます。

工場の安全対策にはとても力を入れています。毎月安全に対する会議を開いており、社員はもちろん派遣社員も原則出席しています。派遣社員が現場作業をすることが多いので、ぜひ出席してほしいとの要望からです。「情報を共有し事故を防ごう」という安全意識の高い職場です。


▮ 海外展開の遅れ


積極的にリスクを取りに行く社風ではないため、海外展開が同業他社と比べて遅れています。事業は電子材料(液晶配向膜、半導体)に依存の一本足打法に近く、次の芽を探そうと努力はしていますが、化学は結果がすぐに出るものではないため、時間がかかると予想されます。また、新しい市場を自分の会社が作ろうと考えるのではなく、既存の市場にいかに入り込むかという視点で研究が行われています。